ゴルフとマネジメント

人は自分のことは分からない。

社長:我が社にはイエスマンしかいなくて困るなぁ

社員:お言葉ですが、社長……

社長:口答えするなッ!

というジョークがあるが、自分では気付かないうちに、自分が言っていることと違ったことをやっている場合は多い。

ある会社で、ある重役が主だった社員を集めて勉強会を始めた。

その勉強会での一番のテーマは、いかに部下に対して聞く耳を持つかということであった。

しかし、その重役は、社内では部下の話を聞かないことで有名であった。

ある企業で会議が行われた。

マネジャーが言った。

「みんな、斬新なアイデアを出してくれ」

若手社員が自分のアイデアを述べた。

マネジャーが質問した

「君、それには前例はあるのかね?」

若手社員は、胸を張って答えた

「独自のアイデアです!前例はありません!」

マネジャーは苦々しい表情をしながら言った

「そんな前例もないリスキーなアイデアが通ると思っているのかね?」

こういったことは日常茶飯事であろう。

これらの経営者やマネジャー達は、嘘をついているのだろうか?

私は、そうは思わない。

彼らは、それぞれ、イエスマンをなくしたい、部下の話を聞く耳を持ってもらいたい、斬新なアイデアを出して貰いたいと思っている筈である。

にもかかわらず、彼ら自身の行動が、自分が望んだ状態を作り出していないのである。

まるで、ゴルフのようではないだろうか。

遠く飛ばそうと思うとチョロしてしまい、

左に飛ばそうとするとスライスし、

右を狙うとフックする。

短いアプローチはトップして飛び過ぎてしまい、

長いアプローチはダフッてしまう。

アマチュアのゴルフは、多くの場合、自分が望んだことと逆の結果が起こる。

そして、それは他人の所為ではない。自分自身がその結果を招いている。

ひょっとしたら、アマチュアだけでなく、プロも同じかもしれない。

だから、超一流プレイヤーであっても、コーチからアドバイスを受けるのであろう。

こう考えると、ビジネスマンも自分なりのコーチを持つことは大事だと思う。 先輩や同僚でももちろん構わないが、より良いのは社外の人間であろう。自分に直言してくれる誰かがいることは、大きなプラスになる筈である。 orit