馬はプレッシャーとリリースで動かす。
プレッシャーとは、レインや脚で馬を不快な状態にすることであり、リリースとは不快な状態からの解放である。
馬が止まっている状態で、脚で圧迫するというプレッシャーをかけると、馬は叱られたと解釈する。
止まっている状態は駄目だと叱られたということである。
そこで、馬は前に歩いてみると、騎乗者は脚の圧迫をやめる。
脚の圧迫というプレッシャーが無くなったわけだから、馬は不快な状態から解放される。
この不快な状態からの解放が、馬にとっての報酬であり、褒められたということになる。
馬にとっては、迷惑な話である。
人間が勝手に不快にさせておいて、報酬といっても、元に戻すだけのことである。
ただ、快不快は相対的なものだから、不快からの解放は十分に報酬になりうるし、だからこそ馬は騎乗者の指示に從うのである。
このプレッシャーとリリースということを考えるにおいて、大事なことはリリースである。
何故なら、騎乗者としては、どうしてもプレッシャーの方に意識が行き勝ちだからである。
プレッシャーとは先ほど書いたように、脚とレインの使い方であり、つまりは馬を動かす技術ということになる。
乗馬の上達ということを考えると、どうしても馬を動かす技術を向上したいと、普通は考えるだろう。
こう考えると、どうしてもプレッシャーの方を重視することになる。
そして、リリースの重要性を忘れてしまう。
馬の立場からすれば、大事なことはリリースである。
馬は、リリースをしてもらうために、騎乗者の指示に從うのである。プレッシャーのために從うのではない。
馬に乗っている間、常に意識しなければならないことは、どこでリリースをしようかということだろう。
違う表現をすれば、馬を褒めるタイミングを常に探していなければならない。
反抗が出た馬、怠ける馬は、場合によっては厳しく叱らなければならない。
しかし、叱ることは目的ではない。
「褒めるために叱る。馬を褒めたいから、叱る」
というTK先生の言葉を常に忘れないようにして、今日もだいちゃんと乗馬を楽しむことができた。
(正面からのだいちゃん)