駈歩が早くならない・・・・。
乗馬を始めた頃は、駈歩が怖かった。客観的には大したことがなくても、体感的には猛スピードである。
駈歩は遅い方が良いと思っていた。
そして数カ月が過ぎた。
生意気になって、もっと早く早くと思うのだが、早くならない。
何とか早くしようと、いわゆる随伴を心掛けている内に、姿勢が崩れてきたようである。
TK先生からは、頭が上下し過ぎていると指摘を受けた。また、反撞を腰ではなくて鐙で受けているとの指摘も受けた。
頭の上下については、意識して少し良くなったようではあるが、どうもまだしっくりこない。
改めて動画を観てみると、僕の随伴の動きは、腰が動かずに上半身に力が入って動いているようである。
これは、真逆の動きであろう。
変な随伴をしないのが一番良いかもしれないが、するとしたならば、せめて腰が動いて上半身はリラックスしたままが良い筈である。
また、鐙に乗せた足にどうも力が入っているなということは、少し前から気づいてはいた。
僕の鐙への足の乗せ方は、ブリティッシュ方式で、足の前の部分を乗せている。しかし、ブリティシュとウエスタンでは、そもそも騎乗姿勢に違いがある。
鐙の踏み方も変えてみる必要性があるのではないかと、昨日、考えた。
そして、今日の朝の騎乗では、上半身のリラックスと丹田の辺りに力を入れること、そして、鐙を深く踏んで騎乗してみた。
これは大正解だった。
脚に力が入る感覚が抜けて、扶助を軽く出せるようになった。
また、全体のバランスも良くなったのか、常歩から速歩を出そうと、軽くチョンチョンと脚をいれると、ティグレはスッと駈歩に入った。
もちろん、駈歩を要求した訳ではないから、すぐに止めたが、その後も、実にスムーズに発進してくれる。
更に、今までは速歩をやっている際に、推進が落ちてしまい、結構脚を入れることがあったが、今日は、脚を入れなくても軽やかに速歩を続けてくれた。
つまり、ティグレも気持ちよく動くことが出来たということだろう。
馬が気持良いわけだから、当然、騎乗者である僕も気持ちが良い。馬が軽いという感覚を味わうことが出来た。
反面、今まで如何に馬の動きを邪魔していたかということである。
午後は、東大の小島毅教授の講演を聞きに、東大柏の葉キャンパスに出かけた。
明治に入っても日本の騎兵の馬は去勢しなかったという話を、以前から聞いていた。
去勢といえば、宦官が有名である。
日本は中国の文化を多く受け入れてきているが、何故か、宦官制度は導入しなかった。そして、馬の去勢ということも避けてきた。
小島教授は中国思想史の専門家だから、この、「なぜ、日本は宦官制度を導入しなかったのか?」という質問を、講演のテーマとはズレるが、してみた。
結論を一言で言えば、「分からない」ということらしい。
この宦官の問題は、専門家同士でも良く出てくるテーマらしいが、分からないらしい。
馬の去勢すらしない文化だから、人間の去勢なんてとんでもないということなんだろうか・・・?
理由は分からないにせよ、日本に宦官制度がなかったことは、悪いことではないと思う。