ウエスタン乗馬では、あまり軽速歩はやらないらしい。
確かに、僕のクラブでも、僕以外に軽速歩をしている人は見たことがない。
僕が何故やるのかといえば、ただ単に軽速歩が好きだからである。
乗馬用語は変な言葉が多いが、軽速歩もその一つである。
ご存じの人は多いと思うが、馬の歩様は、常歩、速歩、駈足、襲歩の4つである。
この速歩の時の人間の乗り方が二つあり、それが軽速歩と正反撞である。
軽速歩は、馬の動きに合わせて、鞍から腰を離したり付けたりして騎乗する。正反撞は、鞍に腰を付けたまま騎乗する。
軽速歩は、英語ではposting trotもしくはrising trotという。
何故、posting trotというかといえば、郵便配達員の乗り方からきているからとのことである。
rising trotとは文字通り、人が腰を鞍から離して立ち上がる乗り方だからだろう。
英語の方が意味が分かりやすくて、日本語の軽速歩は、意味がよく分からない。
何が「軽い」んだろうか?
馬に優しいとはいうが、馬に乗っている限りは、立とうが座ろうが、馬にかかる人間の体重に変化は無い筈である。
この軽速歩にはルールがあって、内方後肢が地面を蹴る際に立ち、外方後肢が地面を蹴る際に座ることになっている。
左手前でいえば、左後肢が地面を蹴る際に立ち、右後肢が地面を蹴る際に座るということである。
ある説明によると、内方の後肢に最も重みがかかるから、その負担を緩やかにするために立つのだという。
しかし、先ほど書いたように、立とうが座ろうが人間の体重に変化はない筈だから、この説明は、どうも納得出来ない。
話を戻すと、軽速歩は馬の背骨に対する負担を減らすという話もある。
ということは、正反撞は馬の背骨に悪い乗り方なのだろうか?
実際に乗馬していて、それほど正反撞が馬に負担を与えているとは思えない。
ブリティッシュも、初期の内は軽速歩が主になっているが、あるレベル以上になると正反撞が主になっているようである。
思うに、軽速歩は馬のためというよりも、騎乗者のためのものではないだろうか?
サラブレッドの反撞を考えると、初心者が速歩を続けるのが難しいから常歩の後には軽速歩ということになっているのかもしれない。
また、反撞が大きい馬に初心者が乗ると、ピョンピョンと跳ねてしまい、それこそ馬に負担を与えてしまうからとも言えよう。
ウエスタンで使うクォーターホースは、サラブレッドほど反撞が大きくないから、ウエスタンではあまり軽速歩を重視しないのかもしれない。
ま、色々と書いてはきたが、僕は何故か、軽速歩が好きである。