木を削って人形を作る際には、鼻は大きめに、目は小さめにしておく方がいいらしい。
小さめの鼻を大きくしたり、大きめの目を小さくしたりすることは出来ない。
しかし、大きめの鼻、小さめの目が気に入らなければ、削ればいい。
なるほどなぁと、言うしかない。
何事も、取り返しがつかないという風にはしない方が良い。
それが仕事のツボというものかもしれない。
そして、それが分かっているのがプロフェッショナルであろう。
プロであっても、常に大成功するとは限らない。
しかし、プロは大失敗をしない。取り返しのつかないことはやらない。
失敗を、取り返しのつく範囲に収めておくことは、とても大事なことである。
何故なら、プロは仕事をする上では、常に失敗が起こりうることを分かっているからである。
この観点からするならば、日本の原発の専門家はプロではなかったということになる。
原発は事故を起こさない、つまり失敗は無いと、言ってきたのだから。
もし、本心でこう思ってないとしたなら、嘘つきだったということであろう。
出典(明治書院)新釈漢文大系11『韓非子 上』竹内照夫著 318頁
説林下第二十三
桓赫曰、刻削之道、鼻莫如大、目莫如小、鼻大可小、小不可大也、目小可大、大不可小也。擧事亦然。爲其不可復者也、則事寡敗矣。 桓赫(くわんかく)曰く、刻削(こくさく、人形作り)の道、鼻は大なるに如くは莫く、目は小なるに如くは莫し、鼻の大なるは小にす可きも、小なるは大にす可からず、目の小なるは大にす可きも、大なるは小にす可からざればなり、と。事を擧ぐるも亦(また)然(しか)り。其の復(ふたた)びす可からざる者の爲にせば、則ち事(こと)敗(やぶ)るること寡(すくな)からむ。