お金のことを、「おあし」という。
その語源は、魯褒という人が書いた『銭神論』だといわれている。
時代は、4世紀の初めである。
時の人々が金に心を奪われている姿を嘆いて書いたといわれている。
曰く、
金銭があれば、翼が無くても飛ぶことが出来、足が無くても走ることが出来る。
厳しい表情も和らげることが出来、開かない口も開けることが出来る。
金持ちは、堂々と前に坐り、貧乏人は後ろに従うだけである。
金銭さえあれば、全てがうまく運ぶのである。
1700年前のことであるが、現代と全く同じである。
出典 (新釈漢文大系) 『蒙求 上』早川光三郎著 360頁
魯褒錢神
失之則貧弱、得之則富昌。無翼而飛、無足而走、解嚴毅之顔、開難發之口。錢多者處前、少者居後。錢之所祐、吉無不利。
之を失へば則ち貧弱となり、之を得れば則ち富昌となる。
翼無くして飛び、足無くして走る、嚴毅の顔を解き、發し難きの口を開く。
錢多き者は前に處(を)り、少き者は後(しりへ)に居る。 錢の祐(たす)くる所、吉にして利ならざるは無し