『箸休め』ロバに乗る話

父親と息子がロバを連れて歩いていた。

すると、前から来た男が、

「せっかく、ロバがあるんだから乗ればいいじゃないか」

と言った。

なるほどと思った父親は自分がロバに乗って進んでいった。

すると、前から来た別の男に、

「子供を歩かせて自分がロバに乗るなんて、親の風上にもおけない奴だ」

と注意された。

そこで、父親はロバから降りて、息子をロバに乗せた。

すると、また別の男に、

「親を歩かせて子供がロバに乗って楽するとは、とんでもない親不孝だ」

と説教された。

それではということで、父親は息子と二人でロバに乗った。

すると、またまた別の男に

「かよわい動物に二人も乗るなんて、動物虐待も甚だしい!」

と叱られてしまった。

進退窮まった父親は、息子と二人でロバを担いで進んでいった。 他人の忠告をきくのは、なかなか難しいものである。