古い韓国ドラマで、「19歳の純情」という、大好きなドラマがある。
中国の延辺朝鮮族自治州出身の19歳のグッカという娘が主人公である。
国際結婚で韓国にやってくるが、到着してみると結婚相手が交通事故で死んでしまっていた。
延辺に帰らず、一人韓国に残ったグッカは、周囲の協力を得ながら、明るく健気に頑張って、最後には幸せになるという話である。
多くの韓国ドラマにあるように、主人公が病気になったり、ドロドロの復讐がなされたりする訳ではなく、見終わった後に爽快感が残る良いドラマである。
韓国版「花より男子」のク・ヘソンが主人公を演じているが、彼女が良く言うセリフがある。それは、
「道理だけは守って来ました」
という言葉である。
苦しいことがあっても辛いことがあっても、様々な誘惑があっても、グッカは道理を守って生きていく。
このドラマの一番の素晴しさは、ここにある。
孟子曰く、
してはならないことはせず、欲しがってはならないことは欲しない。人としての正しい道とは、要はこれだけのことである、と。
まさに、これこそが道理である。
現実の韓国社会や韓国人が、この通りであるかどうかは分からない。
ただ、ドラマの中にこういった思想が入っていることが、儒教がもっとも残っているとされる韓国らしいと、いつも感じながら観ている。
出典 (明治書院)新釈漢文大系4 『孟子』 454頁
孟子曰、無爲其所不爲、無欲其所不欲。如此而已矣。
孟子曰く、其の爲さざる所を爲すこと無く、其の欲せざる所を欲すること無し。 此(かく)の如きのみ、と。